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Story

 

 

死という終わりがない場所 ” メモリア ”

 

そこで ” 花 ” と呼ばれる子供たちによる

 

「 死にゆくための闘い 」があった

 

自らを終わらせるため

 

花たちは闘いの頂に昇らなければならない

 

 

 

―先日、シオンという花が散った

 

 

 

小さな命が終わったことに嘆き悲しむ者はいなかった

 

ただ一人、アネモネを除いて

 

 

 

アネモネは言い難い違和感に包まれていた

 

シオンの生きた証が、メモリアのどこにも遺されていない

 

 

「ここは一体なんなんだ」

 

 

その問いかけに答えるものが一人

 

 

「神の箱庭……

君はシオンに会いたいかい?」

 

 

シオンとよく似た微笑みを作る彼女は

 

ベロニカと名乗り、アネモネに向けて手を差し出した

 

 

「…ボクは」

 

 

その手を取ることは必然だったのか

 

握りしめた掌の中に待ち受ける未来は

 

彼女たちをどう迎えるのだろう

 

 

 

「魂を探して、もう一度巡り合うために」

 

 

 

何処からか、シオンの声が聴こえたような気がした

 

 

 

 

 

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